結果発表
ヤマト運輸の労働環境改善から始まり、アマゾンの配送遅延が話題になり、ZOZOTOWNの送料を顧客が設定することも大きな話題になりました。
物流に関わる出来事が業界ニュースではなく、一般ニュースとして扱われる、それくらい物流・ロジスティクスの重要性が増し、世の中に興味を持って頂ける状況になっています。
しかしながら、その一方で、「自動運転」、「隊列走行」、「ロボット」、「人工知能」などの言葉が先行し、「それでなんとか解決できるのでは?」といった空気が漂っていることを感じているのも事実です。これら「手段」を活用するためには、まだまだ多くのデータが必要ですし、 様々な立場からのご意見やアイデアも必要になっています。
このように日本のロジスティクス転換期に今までの延長線上ではないイノベーションを起こすために、もっと多くの企業様や、多くの方々に「主体的に興味を持って頂く機会」を継続して提供していきたいと考えており、そのひとつがこの活動となります。
「イノベーションを起こすために、ロジスティクスに関る方々はもちろん、そうではない方 にも参加して頂き、幅広い視野でアイデアを出してもらいたい」という考えで昨年から始めた 「物流オープンデータ活用コンテスト」ですが、賛同して頂ける企業様も増えて今年も実施することが出来ました。どうも有難う御座いました。
その結果、多数のお申込を頂き、面白いアプリケーション作品や論文のご応募を頂きました。 審査員一同悩み、議論をした結果、合計6 作品を受賞作品として選定いたしました。
今回、ご応募頂いた作品や論文からは、ビッグデータ活用やロジスティクスへの想いを感じるとともに、大和ハウスグループへの期待も強く感じており、ロジスティクス+IoT による優れたサービスの可能性も実感するコンテストとなりました。
今後も、このような取組みを通じて、多くの方々にロジスティクスへの理解と興味を持って頂き、ロジスティクスの更なる価値向上を目指し、大和ハウス工業グループとして様々な施策に取り組んでいく所存です。引き続き、皆様方のご支援、ご愛顧をいただきますようお願い申し上げます。
大和ハウス工業グループ
株式会社フレームワークス 代表取締役社長
秋葉 淳一
坂村 健 氏
東洋大学情報連携学部 INIAD 学部長(審査員長)
第2回となる本コンテストでは、前回とは異なる傾向の作品が多数寄せられた。特に、AI(人工知能)技術への世界的な高い注目も背景に、ディープラーニングをはじめとした、AI 技術・機械学習技術を活用した作品が多く寄せられた。
優秀賞に選ばれた「Pigeon」は、まさにその代表例と言える。大和ハウス工業が公開したHEMSデータをもとに、ディープラーニングを活用し将来の在宅確率を予想することで再配達の負荷を軽減する。ネット通販拡大による物流業界の疲弊という、ある意味ではICT の負の側面を、オープンデータと人工知能という最先端のICT で解決しようという姿勢は、高く評価できる。
また、物流業界に対する具体的なビジネス提案が多く寄せられたのも印象的だった。そのような作品の中からは、特に物流業界の現場のニーズを理解して実用的なビジネス提案を行った「物流管制システムV2」「配送先開拓サービス」と、斬新なビジネス提案を行った「試着へGO!」、グローバル化が進む物流業界の今後を予見させる「Smart Truck Delivery Planner (STDP)」がそれぞれ、審査員特別賞に選ばれている。
一風変わったところでは、「物流データを雲のように表現する」というコンセプトの作品である「”クラウド”のデータビジュアライゼーション」も審査員の好評を集め、審査員特別賞に選ばれた。そのように多数の独創的な提案が寄せられたが、アプリケーションとしての総合的な完成度の観点をあわせて考え残念ながら最優秀賞は「該当なし」とした。
AI 技術の活用には大量のデータがあることが前提となる。応募された数々のアイデアの実用化に向けては、より多くのデータが、よりリアルタイムに得られる必要がある。本コンテストが今後フレームワークスを中心に物流業界のみならず様々な関連業界にオープンデータの輪を広げ、さらなるイノベーションのきっかけになればと期待している。
秋葉 淳一 氏
株式会社フレームワークス
代表取締役社長
多くの方々に参加して頂き、興味を持って頂きまして、どうも有難う御座いました。
無事に第2 回目のコンテストを実施することが出来ました。重ねて御礼を申し上げます。
第2回目の表彰式を迎えたばかりですが、次回に向けて私共として反省すべきことが少なくとも3つあると思っております。
人工知能の教師データとするためには、まだまだデータが不足しているのではなかと、あらためて実感しており、また、物流・ロジスティクスに興味を持って頂きたいと思っているにもかかわらず、参加者様に状況をお伝えする機会を設けていないこと、そして、大学院などでの卒業研究のスケジュールも考慮する必要性など、次回に向けて整備してまいります。
「データ」というものの活用は昨年よりも多様になってきており、審査会でもそれをきっかけに議論されることもありました。
例えば、優秀賞に選ばれた『Pigeon』に関しては、HEMSのデータから将来の在宅予測を行うもので非常に興味深いものでした。このアイデアと人工知能の活用に、ロジスティクスの知見が加われば、さらに面白いことができると確信もしました。
次回以降は、今回の課題や反省点にも対応して実施したいと思っております。
継続して皆様方に参加して頂ける事を期待しております。
浦川 竜哉 氏
大和ハウス工業株式会社
取締役常務執行役員
建築事業担当
株式会社フレームワークス主催第2 回物流オープンデータ活用コンテストに国内外から皆様にご応募頂き誠にありがとうございました。
今回も第1回コンテストに勝るとも劣らない皆様の秀作、佳作に我々審査員は大変悩まされましたが、私は3つの観点から審査をさせて頂きました。まず物流の観点から第1に、データの分析、活用度(AI、デープラーニング含む)第2に、題材の着目点、トライアル性第3に、内容の完成度、現実性、アントレプルナー性以上の3点です。
結果は発表の通り優秀賞に1点、審査員特別賞に6点となりました。あえて最優秀賞は次回への持越しとさせて頂いたのは、我々の提供データ量の少なさを反省し、提供データ量を増やし、中間で応募者の皆様とコミュニケーションを取り、従来のオープンデータ活用に加えビジネスマッチングの色彩を濃くし、より実用性が高く、即、採用に繋がる案を期待したからに外なりません。是非賞金を起業の一部に当てて頂ければ幸いです。
是非、我々が実用に向け採用したくなる様な案を心からお待ちしております。では来年又、この会場で皆様とお会いしましょう。楽しみにしております。
西良太と乃村研究室の仲間達
Pigeonは各家庭の未来の在宅確率を予測し、可視化する Web アプリケーションです。
ネットショッピングの普及に伴い宅配業界は拡大を続けており、再配達件数の増加は大きな社会問題になっています。再配達は、消費者と宅配業者の双方のストレスになります。我々は、宅配業者が受取人の在宅状況を予測できれば、再配達の件数を減らせると考えました。Pigeon は、ディープラーニングを用いて、蓄積されたエネルギー使用量(HEMS)のデータから各家庭の生活パターンを学習し、未来の在宅確率を予測します。また、マップ機能によって、地図上に各家庭の在宅確率の推移を表示する機能や在宅確率の高い住宅の絞り込み機能を提供します。
これにより、宅配業者は在宅確率を考慮した宅配の経路設計が可能となり、再配達件数の減少につながると考えています。
Team Logistics Controller
物流の現場では様々な局面で「待ち」が発生している。本提案では物流倉庫での『荷積み待ち』、配送先での『荷受け待ち』両面の待ち時間を最小化し、トラックドライバーの体力・メンタル両面での負荷軽減を目指すものである。
物流倉庫ではバース予約システムなどを活用し効率的な運用を目指しているが、現実にはトラックの到着時刻が交通事情により変化し、予定通りに作業が進まないことが多い。本システムではリアルタイムにトラックの位置を把握するとともに、特定地点への到達時に物流倉庫側へ通知を行うことで、予約状況と現実のギャップを把握し、柔軟に作業順番をコントロールすることが可能である。
また、配送先での待ち時間は、荷受け準備が整わないことが原因になることが多い。本システムでは配送先の荷受け担当に対して、特定地点の到達時にLINEやメールで通知を送信する仕組みを採用している。
リアルタイムに状況を把握することにより、物流戦略を現実にするソリューションである。
Team Logistics Explorer
配送業者の9割以上は中小規模事業者となっており、構成員の全員がドライバーであるケースも珍しくない。規模の拡大を図りたくとも配送先の新規開拓が能動的に行えず、顧客間の紹介に頼らざるを得ない現状がある。
新規開拓を企図したとしても顧客候補となる情報を持っていないため、開拓行為に取り掛かれない。
本サービスは、この課題の解決のためにドライブレコーダー動画をAIによって画像解析し、配送ルート上にある『看板』を自動抽出することで、新規顧客候補を発掘する。更に新規顧客を獲得した場合には、配送ルートへの組み込みも自動的に算出し、既存業務への影響を最小限に新規顧客を開拓する。
また、契約交渉に際しては適切な料金収受を実現するための交渉材料として、ドライバーの運行情報を可視化した「安全性情報」を使用して交渉に当たることができる。顧客開拓先の発掘から、契約交渉の材料まで提供することが可能なサービスである。
スリーフォレストODCプロジェクトチーム
このウェブサービスはシューズショップの店舗及びEコマースサイトを運営している企業に対しての新しい顧客サービスの提案です。
Eコマースの最大の購入障壁になりうる、「試着が出来ない」という課題を移動型店舗サービスおよび当日配送サービスを軸に解決します。
今回の提案内容については実現性の低さという課題が解決できておりません。
以上3点を抑えたサービス(すでに色々なサービスがありますが)の発展について更なる業種に対して可能性があると考えており、引き続き模索して参りたいと思います。
Team Custommedia Sdn Bhd
Overview
The Smart Truck Delivery Planner (STDP) is designed to “augment” and value-add the daily logistic operations of Frameworx towards improving the efficiency of its logistics operation, focusing on deliveries of goods by trucks sub-operation.
STDP Advantages
The application takes a Pre-Emptive Approach to help Frameworx makes better preparations, executions and closures of delivery runs, emphasising on ensuring:
Key Features
Harnessing internal and external Open Data, STDP provides analytics and information feeds to help Frameworx optimise its fleet investment and management
through abilities to:
Core technologies
STDP is powered by Custommedia’ s own IoT-Middleware, a versatile technology platform which enables smart connectivity and interoperability between IT equipment, devices (smart and non-smart), sensors systems and services. The IoT-Middleware is also able to ‘actuate’ instructions or commands based on pre-set business rules and triggers.。
田部 景思郎
”クラウド”のデータビジュアライゼーションは、トラックの走行記録を雲で表現した作品です。多摩美術大学の卒業制作の一環として制作しました。
水滴が集まって雲ができるように、人が集まると群衆ができます。「雲と群衆は似ているのではないか」という仮説から、群衆(crowd)を雲(cloud)で表現することを考えました。
物流に携わる人たちが生み出した群衆、その群衆を元にして雲を描くことで、これまで見えてくることのなかった特徴や傾向、物流業界の抱える問題を可視化していきます。